後半>各論です
○商業ゲームの保守化とインディーズゲームへの期待 小山友介教授
商業ゲームの消費者層の年齢ごとの消費者層だが、日本においては10代~20代が薄く、30代がもっとも厚い。少子化の影響が現れている。
30代はおそらく日本史上最後のベビーブーム世代であった。
海外では逆に10~20代が厚いという。
閉塞感。小山教授の発言の中ではこれが一番心に響いた。
ゲームの大規模化により、最大で1億ドル、日本においても10億円~20億円の開発費が投じられており、エンターテイメント業界の中でもハリウッド映画についで最大規模であるという。
現場は保守化せざるをえないが、エンターテイメントは飽きられたら終わりであり、新しいビジョンを提示できなくなったらその時点で命運を立たれる。
私は思うに同人ゲーム業界も、巨大サークルだけが収益を集め他のサークルは同じ土俵にすら上がれないという状態になりつつある。
同人ゲーム業界も商業ゲーム業界以上に保守化しているのである。そして保守化こそがユーザーの選択であった。
無料でゲームをDLしている子供たちが「DLできるもの」に対してお金を投じるだろうか。
○第二部
○「画面作りから見えるゲームメイキング」 EasyGameStation
こちらのサークルはPhotoshopで画面イメージを組んだ後に製作にはいるとのことだが、それと実際のゲームとのぶれがほとんど感じられない点が脅威だった。最初からゲームについてビジュアルとして括弧たるイメージをもっていたということになろう。
同人ゲームの参入障壁の高さの一つがこれである。ビジュアルイメージを具体化できない。というか、ABAゲームズさんほどのセンスをもっていないと、そういったセンスが必用ということにすら辿り着かないのではないのか。
また、こちらのサークルでは自主開発のキットをいくつか使っているとのこと。
>3Dアニメーションツール、エフェクトツール 既存のビューアーがいくつか存在しているが、それがゲームに乗った際の見え方が変わってしまうために作成されたもの。
>イベントツール
スクリプトでイベントを指定すると動いてくれるツール。こちらの導入前まではディレクターがフラッシュでイベントを作成し、そのとおりにプログラマーがイベントを組んでいたとのことである。
機能的なSOHOを見るような感じであった。でもこれは理想的な同人ゲームサークルの姿というより、ゲーム開発者の夢想する環境ではないのかという気がした。そうした環境を作る能力というのをなんと呼べばいいのだろうか?
○あかんゲームとええゲームかわったゲームの作り方 (神奈川電子技術研究所)
同人ゲームのよい点、というか商業ですいあげられそうな点だけをフューチャーしているのが気になっているところ。
イノベーションが必用というか、イノベーションを発表する場に育てたいというのは理解する。しかし創作というのはイノベーションではない。本当に極論するとイノベーションなどというものは存在しないと私は思っているが。
新しいイノベーションが発掘される場として、同人ゲームの現場に注目している人々がいるとする。だが発掘する側には国から研究費が出る(らしい)が、同人ゲームの現場にはおりてこない。ゲームは創作とはまだ看做されていないのである。
ところで、神奈川電子技術研究所さんについてその後の懇親会や質問の折などに話題になっていたのは工程管理能力であった。
つまりはそういうことである。
イノベーションなど本当はだれも関心がないのではないのか。いや、これは感想が意地悪すぎる。
ちなみに工程管理について、私としては非常に参考になったのが、捨ててもいい部分をつくるといった点であった。
とまれイノベーションに関わる部分での神奈川電子技術研究所さんの講演の内容はとんでもない内容であった。今回はこの発表を聞けただけでも価値があったと思われる。学術的理論をゲームに落とし込んでいく手法には脱帽。うまいとこ理論からゲーム性を抜き出している感じ。
○メンバーの個性を生かすゲーム作り チームグリグリ
ニコニコ動画などのメガサイトを使った宣伝、ユーザーの支援はどの程度のリターンがあるのか。チームグリグリさんとしては商業化までこぎつけはしたが、作品の売り上げには反映されなかったとのこと。
ヒット数というデータはクライアントに売れるが、直売は難しいということか。
ミドルウェア開発とその効果に当る話は興味深いのであるが、ミドルクラスより上の同人ゲームメーカーはやっぱりミドルウェアって作らざるを得ないのだろうか。ゲームそのものより、ゲーム作る仕組みのほうに興味がいく感じはある。それは作り手の集まりとしてはそういうことにならざるを得ない感じがする。
○ゲームルールをデザインするね OMEGA
おめが氏
今回最も衝撃的なのはおめが氏であった。芸人性というか、キャラ立ちの面で。
今後ゲーム作家にはより一層の芸人性が求められると思われる。彼の講演で印象深かったのは、自分のアイデアとユーザーの考えとのずれをどのように発展させるかという点である。その結果おめが氏が辿り着いた結論がシンプルな操作と作り手のコンセプトとユーザーの感じるコンセプトのずれを極力無くす方向性であった。おめが氏が述懐したところ印象的であったのは、自作に関わっていたテストプレイヤーの質の高さであったという。
○HPSプログラムコンテストの紹介と取り組みについて (オニオンソフトウェア)
おにたま氏
本家HSPサイトの方でもあったが、最近になってHSPに衝撃の機能が追加された。そちらについては本家サイトの方で確認していただくとして、HSPコンテストの存在意義などが非常に興味深かった。参加者が若いというのが実に心強い。このハンズフリー感そのものに何か時代を感じる。おにたま氏の活動が若い世代に与えている影響って相当大きいのだなと感じた。
○第三部
ディスカッション
その前に、私は同人ゲームでお金を稼いで何が悪いと考えている人である。
という意味で、東方同人ゲーム界に私は非常に注目していたりする。エコシステムとしてはありだろう。
時間の使い方、モチベーションのありようなど、プロフェッショナルでやる場合に比べてそこのコントロールが重要という話。しかし世界情勢そのものが不穏な中でゲームを作るってのはよほど……という気もする。
ディスカッション内容でだいぶ重たかったのは、市場規模の小ささである。やっぱりローカライズせんとだめなのであろうか。
ということで簡単に第二回を振り返ってみましたが、やはり話されている内容はかなりシリアスであるが、その分面白くはあった。
それにつけてもゲーム産業の産業構造そのものがエコシステムとしてはぎりぎりである(すでに破綻をきたしているところも多い)なので、新しいイノベーションがインディーから出ることを期待するという図式がなんとなく面白くない。
結局労働者を搾取する環境は残り続けるってことではないか。
というかゲームの巨大化だけが世代交代が進まない理由ではない。当の新世代がいわゆる親殺しを望んでいないのだから当然である。
暗い未来を考える。……アニメーションなどはもう産業構造を変えないとやっていけないが、産業構造を変えたとして、その結果業界自体が縮小、もしくは抹殺される可能性は極めて高い。そのために現状を改善していくためにも産業構造外から変革を誘発するというのは実は結構悪くない話ではある。幸いにもゲームにはまだその余地があるということか。